THE MASTER BOOK OF AUTHENTIC AMERICAN ATHLETIC APPAREL チャンピオン読本

The Master Book of AUTHENTIC AMERICAN STHLETIC APPAREL

monoマガジン編集局長が語る『チャンピオン読本 US取材後記』第二回
ロチェスター図書館で発掘!

4.ロチェスター図書館で発掘!
 さて、この文章を読んでいらっしゃる方は当然、チャンピオンのHPからログインされたわけですよね。ということは皆さん、少なからずチャンピオンというブランドに興味をお持ちなのだと思います。人は興味を持った事象に対して、さまざまなアプローチでその真実を知る努力をするもの。いまならインターネットがその一助になっていますが、液晶画面を通して知る事実よりも、実際に、物理的な証拠を手にして得た事実は、事実以上の興奮と更なる情報を与えてくれるのです。テクノロジーの発達によって、バーチャルにいろいろな体験が出来る世の中になりましたが、それでもやっぱり実体験を超える刺激はありません。チャンピオンのスウェットだって「着心地がいい」と誰かが書いた文章よりも、実際に着用して肌で感じるあの感覚は、とても言葉や文章ですべて言い表せるものではないと思います。
 

ロチェスター図書館
さて、取材班は後ろ髪を引かれつつ、旧社屋のあるNOTA地区を離れて次の目的地へ向かいました。ロチェスター市の図書館です。正確にはRocheater Public Libraryといいます。実はここ、事前に日本から取材依頼をしたときに、結構冷たい対応だったんです。図書館側が言うには「チャンピオンがこの地で創業したのは事実だけど、何を調べたいのかはっきりさせて欲しい。それでもここには役に立つような情報はほとんどないと思う」と、何ともそっけない返事。何度かメールのやり取りもしましたが、返ってくる返信は同じようなもの。つまり、まったく「ウェルカム」な雰囲気ではなかったのです。
 で、あまり期待できそうになかったので、ワシントンDCまで足を延ばしてスミソニアン博物館の取材も検討していました。実はmonoマガジンの海外駐在がワシントンDCに長くいたことがあって、スミソニアンのアーカイヴィスト(研究員)とのパイプがあったんです。しかし、日程的な問題がありスミソニアンは断念。でも事情を知ったスミソニアン側から、ロチェスター図書館に割と強めのプッシュがあったようです。詳しい内容は知りません。でも、日本からの出発直前になって、ロチェスター図書館から「集められる資料は全部揃えたから」と連絡が……。まあ、何というか、厳然たるヒエラルキーというか、強者と弱者の構図というか、さすがアメリカを代表する、世界に冠たるスミソニアン博物館です。インディ・ジョーンズが発見した聖櫃も保管されてるくらいですからwww
 前置きが長くなりましたが、図書館の資料室に入ったらテーブルの上にズラリとチャンピオン関係の資料が並べられていました。まず目を引いたのは、一見カタログのように見える十数冊の「アニュアル・レポート」(1967年~1986年までのもの)。これはロチェスター市内の企業であるチャンピオンが、毎年、市の商工会議所に提出していた、いわば事業報告書のようなもの。日本だと固いイメージの味気ない報告書しか見たことがありませんが、チャンピオンはさすがです。毎年、表紙から凝りに凝ったデザインで、中面のレイアウトもすごくキレイで見やすいデザインでした。こういうとこ、アメリカの企業っていいですよね。

アニュアルリポートの中面写真。
フットボールウエアに時代を感じる。

これもアニュアルリポート中面。
野球のユニフォームは初めて見た気が。

当時のファクトリーの雰囲気が
よく伝わる写真。アニュアルリポート

アニュアルリポート
 

アニュアルリポート
1967年版

アニュアルリポート
1970年版

アニュアルリポート
1972年版

アニュアルリポート
1975年版

アニュアルリポート
1977年版

また、チャンピオンに関する地元新聞の切り抜きが3つのファイルに分けられていました。一つは株価や売り上げ等に関する経済面の切り抜き、もう一つは市政関連の政治面の切り抜き、そしてもう一つが社会面の記事を集めたもの。地元の新聞ですから、まあ、いろんな記事がありました。1984年から左袖に付けられるようになったお馴染みの“C”ロゴに関するニュースや、CI変更でブランド・ロゴが変わったというニュース、事業計画に関する当時の社長インタビューや、チャンピオンのウエアを着た女性モデルの記事なんていうのもあったりします。

図書館にアーカイヴされていた
新聞の切り抜き

さらに驚いたのは、旧本社から移転する1976年の記事で、そこにはビルからコンテナで荷物を運び出すシーンの写真が掲載されていました。ロチェスター図書館はまた、別のアーカイヴから集めた写真も用意してくれていました。それは1931年に撮影された、消防署のパレードの写真で、その中に偶然、当時市内にあったショップの看板が写り込んでいたのです。取材班全員が心の中で「あるじゃん、いろんな資料や写真が!」と呟いたことは言うまでもありません。色褪せた古い新聞の切り抜きを手にしたとき、その歴史的な価値や情報としての重みを感じました。これがネット検索では得られない“情報の重さ”だと思います。
 ちなみに、ロチェスター図書館で発見した記事や写真に関しては、monoマガジン本誌(2014年10月2日号)及び、全国のチャンピオン取扱い店で無料配布されている「チャンピオン読本」に掲載されていますので、お手に取ってご覧ください。