ロチェスター図書館
で、あまり期待できそうになかったので、ワシントンDCまで足を延ばしてスミソニアン博物館の取材も検討していました。実はmonoマガジンの海外駐在がワシントンDCに長くいたことがあって、スミソニアンのアーカイヴィスト(研究員)とのパイプがあったんです。しかし、日程的な問題がありスミソニアンは断念。でも事情を知ったスミソニアン側から、ロチェスター図書館に割と強めのプッシュがあったようです。詳しい内容は知りません。でも、日本からの出発直前になって、ロチェスター図書館から「集められる資料は全部揃えたから」と連絡が……。まあ、何というか、厳然たるヒエラルキーというか、強者と弱者の構図というか、さすがアメリカを代表する、世界に冠たるスミソニアン博物館です。インディ・ジョーンズが発見した聖櫃も保管されてるくらいですからwww
前置きが長くなりましたが、図書館の資料室に入ったらテーブルの上にズラリとチャンピオン関係の資料が並べられていました。まず目を引いたのは、一見カタログのように見える十数冊の「アニュアル・レポート」(1967年~1986年までのもの)。これはロチェスター市内の企業であるチャンピオンが、毎年、市の商工会議所に提出していた、いわば事業報告書のようなもの。日本だと固いイメージの味気ない報告書しか見たことがありませんが、チャンピオンはさすがです。毎年、表紙から凝りに凝ったデザインで、中面のレイアウトもすごくキレイで見やすいデザインでした。こういうとこ、アメリカの企業っていいですよね。
アニュアルリポートの中面写真。
フットボールウエアに時代を感じる。
これもアニュアルリポート中面。
野球のユニフォームは初めて見た気が。
当時のファクトリーの雰囲気が
よく伝わる写真。アニュアルリポート
アニュアルリポート
アニュアルリポート
1967年版
アニュアルリポート
1970年版
アニュアルリポート
1972年版
アニュアルリポート
1975年版
アニュアルリポート
1977年版
また、チャンピオンに関する地元新聞の切り抜きが3つのファイルに分けられていました。一つは株価や売り上げ等に関する経済面の切り抜き、もう一つは市政関連の政治面の切り抜き、そしてもう一つが社会面の記事を集めたもの。地元の新聞ですから、まあ、いろんな記事がありました。1984年から左袖に付けられるようになったお馴染みの“C”ロゴに関するニュースや、CI変更でブランド・ロゴが変わったというニュース、事業計画に関する当時の社長インタビューや、チャンピオンのウエアを着た女性モデルの記事なんていうのもあったりします。
図書館にアーカイヴされていた
新聞の切り抜き
さらに驚いたのは、旧本社から移転する1976年の記事で、そこにはビルからコンテナで荷物を運び出すシーンの写真が掲載されていました。ロチェスター図書館はまた、別のアーカイヴから集めた写真も用意してくれていました。それは1931年に撮影された、消防署のパレードの写真で、その中に偶然、当時市内にあったショップの看板が写り込んでいたのです。取材班全員が心の中で「あるじゃん、いろんな資料や写真が!」と呟いたことは言うまでもありません。色褪せた古い新聞の切り抜きを手にしたとき、その歴史的な価値や情報としての重みを感じました。これがネット検索では得られない“情報の重さ”だと思います。
ちなみに、ロチェスター図書館で発見した記事や写真に関しては、monoマガジン本誌(2014年10月2日号)及び、全国のチャンピオン取扱い店で無料配布されている「チャンピオン読本」に掲載されていますので、お手に取ってご覧ください。