ロチェスター市内
で、ロチェスターですが、街が出来たのが19世紀初頭。オンタリオ湖からの水路がハドソン川へと通じ(エリー運河)、小麦の生産が盛んになって街は大きく発展していきます。アメリカ合衆国最初の急成長都市として有名になりました。これが20世紀になると繊維産業、それも男性用衣料生産の中心地として発展。ヒッキー・フリーマンも19世紀末にロチェスターで誕生しています。また、イーストマン・コダックやゼロックスがこの地で創業し、現在はボシュロムが本社を置いています。
ちなみにロチェスター大学は、イーストマン・コダックの寄付で大きく発展しました。新IVYリーグに数えられるこの大学もそうですが、アメリカというのは産学共同が基本です。どういうことかと言うと、多くの企業はなるべく東海岸の名門大学、つまりIVYリーグかそれに準じた名門大学に寄付をしたいのです。政府や企業、個人の献金者及び関係者はなるべく、東海岸の名門大学に進学したいのが本音。東部エスタブリッシュメント、もしくは白人の本音と言ってもいいでしょう。そう、ロチェスターというのは、たとえばカリフォルニアあたりの都市とは雰囲気が違うのです。学術都市としての一面が影響しているのかもしれませんが、この街に来たとき最初に感じたのは、とても洗練された文化が根付いた街という印象でした。
チャンピオンはそんな街で誕生したブランドなのです。1924年のミシガン大学を皮切りにIVYリーグを始めとする全米の大学との取引が、チャンピオンというブランドの躍進を支えました。名門大学に入った学生たちが、最初にブックストアで購入する大学のイニシャル入りのウエアはチャンピオンだったのです。そう考えると、このチャンピオンというブランドがアメリカ人にとって特別なブランドであることが解ると思います。東海岸の正統派が住むロチェスターで作られた、正統派のスポーツカジュアル。まったく個人的な感想ですが、僕はロチェスターに足を踏み入れて初めて、チャンピオンというブランドの根底に、アメリカという国の洗練されたプライドがある気がしました。
「Authentic American Athletic Brand」を標榜するのには、それ相応の正当な理由があるということでしょうか。まあ、あくまでも僕個人の勝手な思い込みであることをお断りしておきます。